オートバックスのビジネスモデル-商品と整備をつなぎ、車の維持を引き受ける

オートバックスのビジネスモデル-商品と整備をつなぎ、車の維持を引き受ける

小売・アパレル 監修:合同会社パンディング

オートバックスで買うのは何か?

用品を選ぶ相談から作業までの場面を伝える

タイヤを買いたくても、自分の車に合うか、誰に交換を頼むかで迷うことがあります。値札を比べるだけでは、車を使い続ける準備は終わりません。

オートバックスは、商品と整備をつなぎ、車の維持を引き受けるビジネスです。

定説の発想は、必要な用品を購入し、取付や整備を別に手配します。逆説の発想は、商品選びから作業までを同じ店へ相談することです。

購入者の手間に注目して、私はこの二つを比べています。オートバックスは、公式の統合報告書でも、購入から取付まで担う業態として紹介されている事業です。

この記事では、オートバックスの仕組みを次の3つの視点で読み解きます。

  1. 商品と作業:買う前の相談と買った後の交換をつなぐ
  2. 店舗と本部:店頭の代金を卸売・ロイヤルティにつなぐ
  3. 次の来店:整備の履歴を次回の相談へつなぐ

商品の売場と、作業を頼めるピットを一緒に見ると、収益の仕組みが分かります。

この記事を1枚にまとめた図で、登場人物と、提供・お金・情報のやり取りを見てください。上の3段は関係者と受渡し、下の「逆説の構造」は起点=困りごと、定説=よくある発想、逆説=別の解き方です。

  • 人:利用者と支払者は車の所有者、販売・作業を担うのは店舗、FCを支えるのは本部です。
  • 仕事・サービス・モノ:店舗から所有者へ用品と交換・整備を、本部から加盟店へ商品と運営支援を提供します。
  • お金:所有者から店舗へ商品代・工賃、加盟店から本部へ仕入代金とロイヤルティが渡ります。
  • 情報:所有者から店舗へ予約・車両情報、本部から加盟店へ販売・作業のノウハウが渡ります。

モノは緑の円、お金は黄色の円、情報は水色の四角で示し、サービスは黒い矢印の言葉で読みます。続く本編では、先ほどの3つの視点からこの図を説明します。

車の所有者・FC加盟店・本部の7つの受渡しと逆説の構造
ビジネスモデルの仕組みを整理した図解

商品とピットを、なぜ一緒に置く?

商品売場と整備ピットの連続した利用を示す

商品を渡した後の取付・交換まで受けることで、車の所有者が手配する仕事を減らします。

公式のピットサービス案内には、タイヤ交換やオイル交換が並びます。カーエレクトロニクスで案内されているのも、商品選びと取付の両方です。商品を選ぶ場面と、使える状態にする場面が、同じ店でつながるわけです。

例えばタイヤなら、購入者はサイズや使い方を確かめ、交換を手配する必要があります。その相談を販売店で続けられれば、購入後に別の窓口を探す負担を減らせるはずです。私は、この手配の少なさが、価格比較に加わる選ばれ方だと考えています。

売上にも作業が含まれる

2026年3月期の決算説明資料には、国内チェンの実績が次の区分で掲載されています。

  • 国内店舗売上高は3,059億円:FCを含む全業態の店頭売上の規模です。
  • カー用品販売+サービスは2,304億円:商品と関連作業を合わせた区分です。
  • 車検・整備は257億円:別区分でも整備サービスの売上があります。
  • 車販売は451億円:用品や整備に加え、車そのものの売買にも接点があります。

同資料で伸長が報告されたのは、オイルやバッテリーと、関連サービスの工賃です。

用品の販売と、その用品を使うための作業が収益の両側を支えます。

この数字は商品単独と工賃単独の内訳を示していません。商品販売に工賃を重ねて足すと、実態より大きく数えてしまいます。

店舗が受け取る商品代や工賃からは、仕入れ、人件費、設備などの費用を賄います。相談から作業まで受けるには、その分の人と場所が要るのです。作業の品質と受けられる量を両立して、初めて便利さを維持できます。

FC本部は、どこで売上を得る?

顧客・店舗・本部の収益の入口を区別する

加盟店は所有者から代金を受け取り、本部は加盟店への商品卸売とロイヤルティで収益を得ます。

オートバックスの看板があっても、店頭売上がそのまま本部単体の売上になるわけではありません。統合報告書は、店舗での販売・整備と、FC加盟店への商品卸売を分けて説明しています。

お金の行き先を理解する手掛かりは、次の取引ごとの区分です。

  • 店舗:所有者から商品代や工賃を受け取り、仕入れや店舗運営の費用を賄います。
  • 本部:加盟店から商品の卸売代金とロイヤルティを受け取ります。
  • グループの店舗:連結対象の会社が運営する場合、店舗の小売売上も連結決算へ入ります。

本部は商品を供給するだけでなく、チェンを運営する仕組みも支えます。加盟企業が、その商品供給や支援を使いながら担うのは、地域の店舗運営です。図では、この関係をFC加盟店に絞って描いています。

卸値と料率を一緒に変えた

統合報告書2024が説明するのは、2024年4月に実施した次の制度変更です。

  • 商品の卸売価格を引き下げ:加盟店が仕入れる際の負担を見直しました。
  • ロイヤルティ料率を1%から9%へ変更:本部の収益の取り方も同時に見直しました。

料率の引き上げと卸値の引き下げを、組み合わせて読むことが大切です。

後の加盟法人インタビューでも、小売の売上を本部と加盟店が一緒に伸ばす方向への転換として評価されています。私の理解では、所有者に選ばれる段階へ本部の関心を近づけた改革です。

ただし、各店の利益は商品構成や人件費でも変わります。料率の差だけでは、加盟店の負担増減を決められません。制度変更を見るときは、誰のどの行動が収益に結び付くかまで確かめる必要があります。

「車のカルテ」が次の相談につながる

履歴の確認と現場が受けられる作業の関係を示す

メンテナンス履歴を次回の判断に使えるようにして、購入や作業の後にも相談の接点を残します。

公式の予約案内では、タイヤ交換、車検、オイル交換などのWEB予約ができます。日時を選び、変更やキャンセルもWEBで行える案内です。所有者が店へ行く前に、作業を頼む準備を進められます。

さらに「車のカルテ」へ自動反映されるのは、メンテナンス履歴や点検結果です。購入履歴も確認でき、車検証を登録すると適合商品を調べる助けになります。

ここからは私の考察です。以前に何を交換したかが分かれば、次に何を相談すべきかを考えやすくなります。商品を買った一度きりの接点から、使い続ける間の判断を支える接点へ広げられると考えています。

予約を受ける力が必要

履歴と予約の便利さを支えるのは、実際に作業できる現場です。

公式予約サイトには、在庫や車両によって作業を受けられない場合があると記載されています。ピットサービスのメニューも店舗ごとに異なる案内です。所有者の希望を受け取る入口と、店が対応できる内容を合わせる必要があります。

加盟法人インタビューでも課題として挙がっているのが、サービスの標準化や人材育成です。窓口を一つにしても、説明と実際の作業が食い違えば、所有者は再び調整を引き受けます。任せやすさには、人員と設備、説明の正確さが欠かせません。

この点は、商品にサポートを付ける事業にも通じます。購入前の案内だけを充実させた結果、購入後の問い合わせが集中する現場を想像してみてください。私は、受付を増やす判断と、それを受けられる量の確認を一緒に行うべきだと思います。

あなたの仕事に置き換えると

購入後の支援を業務用ソフトへ応用する私の考えを示す

オートバックスは、用品の販売と整備をつなぎ、購入後も車の維持に関わる接点を持っています。

私がこの仕組みから学ぶのは、売る物を増やす前に、購入者が次に引き受ける手間を見ることです。商品を届けた時点と、相手がそれを使える時点には、距離があるかもしれません。

例えば業務用ソフトを提案する仕事なら、購入後には初期設定や社内への説明が残ります。私なら、よくある設定を支援する範囲と、受けられる件数を一緒に考えます。商品への追加だけでなく、利用開始までの手間を減らす提案です。

引き受ける仕事と、受けられる量を対にすると、便利さを約束した後の負担も見積もれます。相手の不安を減らしながら、自社が無理なく提供できる範囲を探すのです。

自分の仕事に当てはめるために、次の3つの問いに答えてみてください。

  1. 購入後に相手が困るのは何ですか。例:初期設定。
  2. 自社で引き受けられるのは何ですか。例:設定の相談。
  3. 約束を守るために必要なのは何ですか。例:担当者の予約枠。

最初からすべてを引き受ける必要はありません。一つの相談を受け、相手の負担が減ったか、現場が対応し続けられるかを確かめるところから始められます。

あなたの商品を買った後、お客様に残る手間は何でしょうか?

参考

国内オートバックスの店舗とFC本部を中心に分析しました。図はFC加盟店の主要取引を抜き出しており、グループ全事業の収益は示していません。