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ダスキンのビジネスモデル-日常の繰り返しを、加盟店と収益に変える

人材・生活サービス

モップとミスド、共通点はどこにある?

モップとミスド、共通点はどこにある?

玄関でモップを交換するスタッフと、店頭でドーナツを渡すスタッフ。
同じダスキンの事業だと知ると、その組み合わせが気になります。

ダスキンは、日常の繰り返しを、加盟店と収益に変える会社です。

定説の発想は、各地域の需要に応えるため、自社で拠点と人員を増やす方法を選びます。
逆説の発想は、本部が商品と技術を共通化し、地域の加盟店と届けることです。

この記事では、ダスキンの仕組みを次の3つの視点で読み解きます。

  1. モップの定期交換:使い続ける手間を引き受ける。
  2. ミスタードーナツ:商品と技術を加盟店へ届ける。
  3. 本部の収益:供給代金とロイヤルティを得る。

加盟店と本部の分担を追うと、モップとドーナツに共通する仕事が見つかります。

図では、登場人物と、提供・お金・情報のやり取りを一枚にまとめました。
上の3段が取引の関係、下の「逆説の構造」が記事の主張です。

起点は困りごと、定説はよくある発想、逆説は別の解き方として読み進めてください。
続く本編は、3つの視点から図の中身をたどる構成です。

  • 人:家庭・事業所や来店客が利用し、地域の加盟店が届け、本部が商品と技術を支えます。
  • 仕事・サービス・モノ:加盟店から利用者へモップやドーナツ、定期交換・清掃を提供します。本部から加盟店へは商品・原材料と技術支援です。モノは緑の円、サービスは矢印の言葉で示します。
  • お金:利用者は加盟店へ利用料・購入代金を払い、加盟店は本部へ仕入代金・ロイヤルティ等を払います。図の記号は黄色い円です。
  • 情報:利用者から加盟店へ、申込や注文を伝えます。図の記号は水色の四角です。
図解
ビジネスモデルの仕組みを整理した図解

モップはなぜ、交換して届けるのか

モップはなぜ、交換して届けるのか

定期交換は、掃除道具を使い続けるための手入れを、事業として引き受けます。

掃除道具を買っても、汚れた道具を手入れする仕事が残ります。
モップを届けて終わる売り方と、使ったモップを回収する売り方では、利用者の負担が変わるでしょう。

ダスキンの環境に関する公式ページでは、商品を定期的に届け、使用済み商品を回収すると説明しています。
工場で洗浄した商品は、再び利用者へ届ける商品になります。
回収と洗浄までを含むレンタルが、売り切りとの違いです。

加盟店募集の「Sサーヴ100」も、定期中心のレンタル事業を案内しています。
利用が続けば、交換のたびに顧客と会う機会が生まれるでしょう。
私が注目したいのは、この決まった接点です。

次に会う理由をつくる

訪問には、「商品を交換する」という利用者に分かりやすい用事があります。
売るためだけに連絡する場合より、訪ねる目的がはっきりするのではないでしょうか。
清潔な道具を渡し、使い終えた道具を引き取る仕事が、接点を生んでいます。

その接点を保つには、交換する人、回収する車両、洗浄する工場が必要です。
利用料から、それらの費用を賄えることが継続の条件になります。
訪問先が遠く離れれば移動負担が増え、顧客が増えても採算を圧迫しかねません。

定期利用をつくる際は、顧客が毎回必要とする仕事と、届け続ける負担をセットで考える必要があります。
交換する理由が明確で、その仕事を無理なく続けられてこそ、次の利用につながるのです。

ミスドは何を加盟店に届けている?

ミスドは何を加盟店に届けている?

ミスタードーナツの本部は、原材料と製造・運営の技術を加盟店へ届けます。

ダスキンの投資家向け説明では、ミスタードーナツの展開はフランチャイズが基本です。
本部は原材料を販売し、ブランドを使った店舗運営や製造技術を提供します。
加盟店はそれらを使い、来店客に商品を販売する立場です。

会社のフード事業紹介では、手づくりのドーナツと多彩なメニューを案内しています。
商品の企画だけでなく、店でつくって販売できる状態まで支える必要があります。
同じ名前の商品を各地域へ届けるには、材料とつくり方の両方が欠かせません。

買いに行く理由を更新する

モップには交換の予定がありますが、ドーナツを買う日は客が選びます。
こちらの再来店を支えるのは、食べたい商品や選ぶ楽しさです。
繰り返し利用する理由は、事業ごとに違います。

最新の四半期決算では、ミスタードーナツの客数・客単価が前年同期を上回ったと説明しています。
新規出店も加わり、全店のお客様売上が増加しました。
それに伴い、本部の原材料売上とロイヤルティ収入も増えています。

一方、同資料に挙げられた課題が、人気商品の反響による混雑や品薄です。
私は、商品を話題にする力と、店で提供する力の両立が大切だと思っています。
需要が増えたときに商品を用意できるかまでが、次に来てもらうための仕事です。

本部が企画した商品を、加盟店が地域の客へ届ける。
その分担が機能すれば、一店だけで商品開発から販売まで抱える負担を分けられます。
同時に、製造や接客を担う店の人員と設備が、販売できる量の条件になります。

本部と加盟店は、どこで収益を得る?

本部と加盟店は、どこで収益を得る?

加盟店は利用者への販売・サービスで、本部は加盟店への供給や技術支援で収益を得ます。

ダスキンの事業説明を、お金を受け取る立場ごとに分けると、次のようになります。

  • 加盟店:利用者からレンタル利用料、清掃の代金、ドーナツの購入代金などを受け取る。
  • 本部:加盟店への商品レンタル・販売、原材料や薬剤・資器材の販売などで収益を得る。
  • 本部の技術支援:ブランドや運営・専門技術の提供に対し、ロイヤルティを受け取る。

清掃のケアサービスでも、本部は薬剤や資器材を販売し、清掃技術と運営ノウハウを提供します。
加盟店が現場で実施する清掃は、利用者が代金を払う対象です。
モップとドーナツに加え、専門的な仕事にも本部と加盟店の分担があります。

店の売上と会社の売上を分ける

会社概要では、全国チェーン店のお客様売上を、直営店・子会社と加盟店の売上を含む参考値としています。
会社の連結売上高は、連結対象の会社が計上する売上の合計から、グループ内取引を消去した数字です。
誰が受け取る代金かを押さえると、店頭の売上と本部の収益を読み分けられます。

年間の規模を示す、2026年3月期の連結実績は次のとおりです。

  • 売上高1,945億54百万円:加盟店向けの供給などを含む、グループ全体の売上規模を表します。
  • 営業利益87億48百万円:商品やサービスを届ける原価と、販売・管理の費用を賄った後の利益です。

直近に公表された四半期決算でも、訪販とフード双方の売上が増加しています。
ただし、訪販の家庭向けは減収で、主力のモップ商品全体の売上も減少しました。
継続利用を前提とする商品でも、顧客の選択や需要の変化への対応は必要です。

私は、本部が提供する商品・技術と、加盟店が負担する仕入れ・人件費を一緒に見ることが大切だと考えています。
店側も採算を保てることが、地域で提供を続ける条件になるからです。
図は国内の加盟店取引を中心に示し、直営店・海外事業は省略しています。

あなたの仕事に置き換えると

あなたの仕事に置き換えると

ダスキンの分担を応用するなら、繰り返し必要な仕事と、共通化できる準備を分けて考えます。

地域で提供する仕事を支えるのは、モップでは回収と洗浄、ドーナツでは原材料と製造技術です。
利用者に近い場所で担う作業と、多くの拠点で使える準備がつながっています。
この分担があるから、それぞれの担当は自分の持ち場に力を使えます。

自分の仕事に当てはめるために、次の3つの問いに答えてみてください。

  1. 顧客が繰り返し必要とする仕事は何ですか。例:毎月の在庫確認。
  2. 毎回つくり直している準備は何ですか。例:確認項目の説明。
  3. 顧客の近くにいる人へ任せたいことは何ですか。例:現場での数量確認。

たとえば在庫確認を支援するなら、確認項目と報告方法を共通にして、数える仕事は現場へ任せる案があります。
支援する側は、集まった結果から補充や改善を提案する仕事を担えます。
担当を分けることで、何に代金を払ってもらうのかも具体的になるでしょう。

私なら、最初から多くの拠点へ広げる前に、一つの現場で分担が機能するかを確かめます。
確認項目をそろえても、現場の負担が増えすぎれば続きません。
利用者の手間が減り、提供する側も費用を賄えることを、同じ場面で見たいからです。

ダスキンから持ち帰れるのは、身近な用事が次に必要になるときまで考える視点です。
売った後に残る手間を誰が担うかが、継続して選ばれる理由を変えます。
あなたの顧客が、次も頼みたいと思う仕事は何でしょうか。

参考

定説は、自社で拠点を増やす方法との分析上の比較です。
事業の分担から得られる示唆と仕事への応用は、私の考察として記しています。