すかいらーくのビジネスモデル。店の魅力は変え、裏側の仕組みは共通にするという記事の表紙

すかいらーくのビジネスモデル-違う店を、共通の仕組みで支える

飲食

ガストとバーミヤンの、見えない共通点

異なる料理の店を見比べ、食事の行き先を相談する大人

ランチを手軽に済ませたい日はガスト、中華を食べたい日はバーミヤン、みんなで鍋を囲みたい日はしゃぶ葉。同じすかいらーくグループでも、店を選ぶ理由は違います。では、料理も体験も異なるブランドを、どうやって支えているのでしょうか。

すかいらーくのビジネスモデルは、顧客に見える店の魅力を分けながら、裏側の調達・加工・配送を共通の基盤で支える仕組みです。「効率化するなら商品も店も同じにする」という発想との違いに、事業を考えるヒントがあります。

  1. ブランドを分けて、食事を選ぶ理由を増やす。
  2. 共通の事業基盤で、多様な店を動かす負担を抑える。
  3. 店舗の売上と費用を見ながら、地域に合う形へ変える。

ここでは、すかいらーくホールディングスを中心としたグループの外食事業を扱います。「表は多様に、裏側は共通に」という見方は、公式資料にある仕組みを筆者が整理したものです。

企画の現場でも、顧客に合わせるほど制作や運用が複雑になることがあります。すかいらーくを読む価値は、その両立を店の看板だけでなく、仕事の分担まで掘り下げて考えられる点にあります。

ブランドを分けると、選ばれる理由が変わる

洋食、中華、鍋をそれぞれ楽しむ利用者

公式のブランド紹介では、ガストは幅広い客層と利用動機に対応し、お値打ち感を重視するレストランとされています。バーミヤンは中華料理、しゃぶ葉はしゃぶしゃぶの食べ放題が中心です。料理のジャンルだけでなく、食事に期待する体験も異なります。出典:ブランド一覧

筆者の考察として、ここには「誰に売るか」に加えて「どんな日に選ばれるか」を分ける設計があると読めます。急いでいる日と、会話を楽しみながら食べたい日では、同じ人でも選ぶ店が変わるからです。

一つの店であらゆる要望に応えようとすると、何が得意なのか伝わりにくくなる場合があります。ブランドを分ければ、利用者はその日の目的に近い店を選びやすくなります。ただし、ブランドが増えれば、その分だけ商品開発や店舗運営の複雑さも増えます。

違いを増やすだけでは、強みにならない

ブランドごとに仕入れ、製造、配送をすべて別々に用意すると、似た業務が重複します。店の違いが顧客に評価されても、それを届ける費用が膨らめば、事業として続ける難しさが生まれます。

そこで注目したいのが、すかいらーくの事業基盤です。公式サイトは、商品開発から調達、製造、物流、料理の提供までを一貫して行うサプライチェーンを説明しています。ブランドの多様性を支える仕組みとして、このつながりを見る必要があります。出典:グループ・ブランド

顧客が選ぶ理由は分け、提供するための仕事はまとめる。この二つがそろって初めて、多様性を事業の力として扱いやすくなります。

営業やマーケティングに置き換えるなら、顧客ごとに提案の切り口を変えつつ、調査方法や見積もりの手順を共通にする発想です。これは筆者の応用例であり、すかいらーくが営業資料をその方法で作っているという意味ではありません。

手頃な料理を支える仕事は、店の外にもある

食材の下処理と確認を行う共通キッチンの担当者

料理を提供するのは店舗ですが、すべての準備を店舗内で完結させているわけではありません。公式資料では、セントラルキッチンで食材のカットやソースづくりなどを集約し、店舗の調理負担を軽減する仕組みが説明されています。出典:垂直統合サプライチェーン

店舗側の説明にも、一次加工された食材を使い、品質を安定させながら料理を提供する流れが示されています。店舗での食材保管、温度管理、調理といった仕事は引き続き必要です。中央で準備する範囲と、店で仕上げる範囲を分けています。出典:調理

物流も、食材を運ぶだけの仕事ではありません。公式の紹介では、食器や店舗で使う備品なども配送にまとめる考え方が示されています。個々の店舗が別々の配送を手配する負担を抑えることが、日々の運営を支えています。出典:流通

共通化する場所で、効率化の意味が変わる

筆者の考察として、この仕組みの要点は、顧客が感じる違いを消さずに、繰り返し発生する仕事をまとめることです。看板やメニューを一律にそろえることと、加工や配送の基盤を共用することは、顧客への影響が異なります。

例えば、食材を切る準備を集約できれば、店は仕上げや提供に使う時間を確保しやすくなります。ただし、どの工程でも集約すればよいわけではありません。料理のおいしさ、配送の条件、現場で必要な作業を見ながら、分担を決める必要があります。

効率化の対象は、顧客が評価する違いと、その違いを届けるための共通作業に分けて考えられます。顧客が大切にする体験まで削ってしまうと、効率は上がっても選ばれる理由が弱くなりかねません。

この仕組みには、工場や配送網を維持する負担もあります。規模を大きくすれば自動的に利益が増えるとは言えません。必要な品質と供給量に合った運営を続けられるかが、共通基盤の価値を左右します。

飲食代を売上にし、地域に合う店へ育てる

地域地図と店舗模型を使って店の役割を相談する担当者

収益の入口は、利用者が料理や飲み物などの対価として支払う飲食代です。その売上から、食材、従業員、店舗、加工、配送などに必要な費用を賄います。共通基盤は費用を管理する仕組みですが、それ自体が顧客からの支払いを生むわけではありません。

筆者の整理では、店が選ばれて売上が生まれることと、提供に必要な費用を抑えることを、両方見る必要があります。安さだけで客を集めても運営が続かなければ困りますし、費用だけを削って利用者が離れても収益は伸びません。

すかいらーくは公式の成長方針で、地域の市場変化に合わせた業態転換や店舗のリモデル、価格戦略、販促、オペレーション改革を挙げています。出店後も、既存店の売上と収益力を高める取り組みを続ける方針です。出典:既存店成長

同じ場所でも、提供する価値は見直せる

筆者の考察として、複数の業態を持つことは、地域に合わせて店の役割を考え直す選択肢にもなります。ある場所で以前と同じ店が選ばれにくくなったとき、商品、空間、業態を見直す余地があるからです。

ただし、転換すれば必ず成功するということではありません。改装に必要な費用、周辺の需要、競合、従業員の習熟など、確認すべき条件が残ります。既存の設備や運営経験を使える範囲も、店ごとに違います。

多様なブランドと共通基盤は、売上を伸ばす選択肢と、運営を支える仕組みの組み合わせです。実際の成果を見るときは、売上の伸びだけでなく、費用や投資の負担も併せて確認したいところです。

ここまでの関係を図解にすると、利用者が店へ飲食代を支払い、店から料理と接客を受ける流れが中心になります。その裏側で、グループが食材を調達し、加工・配送を通じて店舗を支えます。仕入代金はグループから供給者への支払いであり、グループの売上ではありません。

利用者、店舗と共通基盤、食材供給者とグループの提供・支払い関係。定説と逆説は編集上の比較
ビジネスモデルの仕組みを整理した図解

自分の仕事で、分けるものとまとめるものを決める

一枚の紙に付箋を並べ、業務の共通化を考える担当者

すかいらーくから学べるのは、大きな工場や多数のブランドをそのまままねることではありません。筆者の考察として、顧客に届ける違いと、裏側で共通にできる仕事を分けて考えることが、小さな事業にも応用しやすい視点です。

まず、一枚の紙を三つに区切り、今扱っている商品やサービスについて書き出してみてください。

  1. 「顧客が選ぶ理由」に、相手や利用場面ごとに変える価値を書く。
  2. 「繰り返す仕事」に、調査、準備、制作、確認などの共通作業を書く。
  3. 「共通化の条件」に、品質を保つ方法と、個別対応を残す範囲を書く。

そのうえで、一つだけ小さく共通化し、作業時間と顧客への伝わり方を確かめます。共通化して手間が減っても、提案が相手に合わなくなったなら、分ける範囲を見直す必要があります。

反対に、同じ調査を何度もやり直しているなら、その重複を減らす余地があります。変えるべき部分と繰り返し使える部分を見極めれば、顧客ごとの工夫に時間を使いやすくなります。

図解の「定説・逆説」は、この考え方を伝えるための編集上の比較です。業界全体の常識や、すかいらーく自身が発表した公式コピーを示しているわけではありません。

あなたの仕事で、顧客のために変える部分と、共通にできる部分はどこでしょうか。

参考

以下はすかいらーくの公式一次資料です。取得日はいずれも2026年10月5日。取得ページの一部には過去の店舗数や施策予定が残るため、本記事では最新の店舗数や財務実績の根拠として使っていません。

仕事への応用例、共通化の条件、定説・逆説の比較は筆者の考察です。図解の矢印は提供と支払いの関係を簡略化し、決済やすべての契約関係は省略しています。すべてのグループブランドが同一の運営方式であるとは主張していません。